macOS Sequoia と Clash Nyanpasu:2026 年の現状

macOS Sequoia (15.x) のリリース以降、Apple はシステムレベルでのネットワークスタックとセキュリティ保護(System Extensions)をさらに強化しました。これにより、従来のプロキシ設定だけでは Apple Music、iCloud、ターミナル、そして一部の Unity ベースのゲームなどで「プロキシをバイパスしてしまう」現象が発生しやすくなっています。

Clash Nyanpasu は、モダンな UI と mihomo カーネルの強力な機能を兼ね備えたクライアントです。本ガイドでは、Sequoia 環境で最も安定し、かつ「全アプリのトラフィック」を捕捉できる TUN モード の有効化手順と、OS 固有のトラブル回避策を解説します。

TUN モードとは:仮想ネットワークカードを作成し、OS レベルですべての IP パケットを Clash に流し込む方式です。HTTP プロキシ設定を無視するアプリや、UDP 通信(QUIC など)も分流対象に含めることができます。

事前準備とインストール

まず、最新の Clash Nyanpasu がインストールされていることを確認してください。Sequoia では古いバージョンだとシステム拡張の承認で不具合が生じることがあります。

  1. GitHub のリリースページから .dmg ファイルをダウンロードし、Applications フォルダへ移動します。
  2. 初回起動時に「開発元が未確認」と表示された場合は、システム設定の「プライバシーとセキュリティ」から実行を許可してください。
  3. 重要: Settings > Kernel セクションで、カーネルが mihomo に設定されていることを確認します(TUN モードの柔軟性が高いため)。

TUN モードの有効化ステップ

Sequoia で TUN モードを正常に動作させるには、管理者権限の付与と適切なスタック設定が必要です。

1. 権限の付与

Clash Nyanpasu の Settings 画面にある "Service Mode" をインストールします。これにより、アプリがルート権限で仮想ネットワークインターフェースを制御できるようになります。インストール後、ステータスが「Active」になっていることを確認してください。

2. TUN モードの設定 (YAML)

設定ファイル(Profile)の tun セクションを以下のように構成するのが 2026 年時点の推奨設定です。auto-routeauto-detect-interfacetrue にすることで、Sequoia の複雑なルートテーブルを自動管理させます。

tun:
  enable: true
  stack: system # または gvisor (安定性重視なら system)
  auto-route: true
  auto-detect-interface: true
  dns-hierarchical-writes: true
  strict-route: true

3. システム設定での承認

TUN モードをオンにすると、macOS から「ネットワークコンテンツのフィルタリングの許可」を求めるポップアップが表示されます。必ず「許可」を選択してください。これを拒否すると、仮想アダプタが作成されず、通信が遮断されます。

DNS 設定の最適化(Fake-IP)

TUN モードを最大限活用するには、Clash 側の DNS 設定が重要です。特に macOS の mDNSResponder との競合を避ける設定が必要です。

  • Enhanced Mode: fake-ip を推奨します。これにより、システムは Clash が生成した仮想 IP を参照し、Clash 内部で名前解決と分流が行われます。
  • DNS Servers: 8.8.8.81.1.1.1 などの海外 DNS と、223.5.5.5(AliDNS)などの国内 DNS を併用し、nameserver-policy で分流します。

macOS Sequoia 特有のトラブルシューティング

Sequoia アップデート後に遭遇しやすい問題とその解決策をまとめました。

症状 原因 解決策
TUN 有効時にネットが切れる ルーティングループ bypass リストにローカルネットワーク(192.168.x.x)が含まれているか確認。
iCloud 同期が止まる 証明書エラーまたは QUIC Apple 関連ドメインを DIRECT に設定するか、UDP 443 をバイパス。
設定変更が反映されない システムキャッシュ sudo killall mDNSResponder をターミナルで実行し DNS キャッシュをクリア。

パフォーマンスとバッテリーへの配慮

TUN モードは全てのパケットを処理するため、物理ネットワークカード単体での動作より CPU 負荷がわずかに高まります。MacBook ユーザーは以下の点に留意してください。

1. Stack の選択: system スタックは macOS 標準の機能を使い安定していますが、古い Intel Mac では gvisor の方が軽量な場合があります。M1/M2/M3 以降のチップでは system で問題ありません。
2. ログレベル: Settings でログレベルを info または warning に下げてください。debug レベルはディスク書き込みと CPU 消費を増大させます。

まとめ

macOS Sequoia での Clash Nyanpasu 利用は、Service Mode のインストールTUN モード (auto-route) の組み合わせがベストプラクティスです。システム標準のプロキシ設定に頼らないことで、ブラウザ以外のアプリも確実にプロキシの恩恵を受けることができます。もし接続が不安定になった場合は、まず「システム設定 > ネットワーク > フィルタ」を確認し、Clash の拡張機能が有効になっているかを再チェックしてください。