はじめに:「Console は回るのに API だけ不安定」が起きやすい理由

2026 年 5 月AnthropicClaude Platform on AWS の提供拡大を打ち出し、AWS 上で Claude を運用・購入・連携する利用者が一気に広がりました。ブラウザで AWS Management Console を開き、モデルカタログや課金画面まで辿れるのに、実際に InvokeModel やメッセージ API を叩くと読み込みのまま進まないタイムアウト断続的な 5xx/TLS エラーに見える——こうした相談は、プロキシ配下ではとくに分流(ドメインや用途ごとに出口を変える Clash のルール設計)とDNSの組み合わせが崩れているときに起こりやすいです。

本稿は、すでに公開している AWS MCP Server と IDE 向けの AWS API 分流と役割を分けます。あちらが IAMSTS、開発者ツール経由の MCP に寄っているのに対し、ここではコンソール体験Claude/Anthropic 系 APIのホスト差にフォーカスします。ChatGPT/Claude 向けの汎用分流と併せて読むと、ドメインの重複や優先順位の調整がしやすくなります。

症状の整理:スピナー・タイムアウト・片側だけ失敗

AWS Console は一度に多数の静的アセットと API 呼び出しを並列で載せるため、帯域が細い出口や途中で途切れやすいノードだと、画面全体が延々スピナーのままに見えることがあります。一方、Amazon Bedrock のランタイムはリージョン付きの amazonaws.com ホストへ向き、長い HTTPS セッションストリーミング応答が載りやすい構造です。Anthropic API を直接叩くクライアントでは api.anthropic.com のような別ホストがログに出るため、「Console 用のルールだけ整えたつもりが、API の宛先が別ルールに飲まれる」パターンが典型です。

さらに、CLI や SDK、IDE プラグインはブラウザよりシステムプロキシや環境変数の影響を色濃く受けます。Clash Verge などの GUI で TUN やシステムプロキシを有効にしている場合でも、一部プロセスだけが経路外に出ると、ブラウザでは通るが API だけ失敗に見えます。原因切り分けの第一步は、失敗時の実ホスト名どのプロキシグループに載ったかをログで一致させることです。

注意:リージョン名・エンドポイント・サービス名は変更され得ます。本稿のドメイン一覧は設計の出発点であり、実際の宛先は利用中の SDK バージョンと接続ログで確認してください。料金・契約・コンプライアンスはご自身の AWS アカウントと Anthropic の条件に従って判断してください。

コピー用:よく出るホストのたたき台

実務では次の DOMAIN-SUFFIX をベースに、Clashrules: へ並べます。環境によってはサブドメインが増えるため、タイムアウト時は必ず接続一覧で追加入力を洗い出してください。

  • AWS マネジメントコンソールの骨格console.aws.amazon.comaws.amazon.com、認証まわりで signin.aws.amazon.com や SSO 系の awsapps.com がログに出ることがある
  • API 一般amazonaws.comBedrockbedrock-runtime.*.amazonaws.com などリージョン URL がここに含まれることが多い)
  • Anthropic 直叩きanthropic.com またはログに出た api.anthropic.comDOMAIN で明示することもある
  • テレメトリ・ヘルプ:コンソール体験や計測用の別ホストが増える場合がある。スピナーが長いときは開発者ツールの Network タブで失敗ドメインを拾う

広すぎる DOMAIN-KEYWORD,aws は無関係なサイトまで同じ出口に載せる恐れがあるため、まず DOMAIN-SUFFIX で狭く始め、ログの漏れを足す運用が安全です。ルール型の共通課題は ルール分岐の詳解にもまとめています。

Console 用と API 用でプロキシグループを分ける

単一の select に海外トラフィックを全部流す構成だと、動画や一般ブラウジングと同じノードに 長時間の API セッションが載り、律速や切断の影響を受けやすくなります。AWS_CONSOLE_PROXYAWS_API_PROXY のような独立プロキシグループを切り、コンソール向けはレイテンシの良い出口、API 向けは切断が少ない出口へ寄せると、体感の成功率が上がりやすいです。

Clash Verge ではプロファイルを開き、同じ名前のグループが rules: から参照できることを確認してから再起動・再読み込みします。GUI 上でノードを切り替えたときに、API 側のグループだけを変えて再試行できるのも、運用上の利点です。

評価順:DOMAIN 行を GEOIP より上へ

ClashMihomo 系はルールを上から順に評価し、最初の一致で打ち切ります。DOMAIN-SUFFIX,amazonaws.com を追記したつもりが、上段の GEOIP や巨大な RULE-SET に先に吸われている——これが「YAML は正しいのに効かない」典型です。より具体的な行を、大雑把な締めよりへ置き、保存後に順序を目視してください。

同一ホストが IP ベースのルールに先に落ちている場合は、ドメインルールより IP 側が優先されていないかも確認します。Fake-IP 環境では、見えている宛先と実接続の関係をダッシュボードで読み替える必要がある点に注意してください。

YAML の骨格例(概念サンプル)

インデントやキー名は利用中のコアに合わせてください。ここでは Console/API を分けた最小イメージだけ示します。

proxy-groups:
  - name: AWS_CONSOLE_PROXY
    type: select
    proxies:
      - 🇯🇵 低遅延
      - 🇺🇸 安定
      - DIRECT

  - name: AWS_API_PROXY
    type: select
    proxies:
      - 🇺🇸 長接続向け
      - 🇯🇵 バックアップ
      - 🌐 自動選択

rules:
  - DOMAIN-SUFFIX,console.aws.amazon.com,AWS_CONSOLE_PROXY
  - DOMAIN-SUFFIX,aws.amazon.com,AWS_CONSOLE_PROXY
  - DOMAIN-SUFFIX,amazonaws.com,AWS_API_PROXY
  - DOMAIN-SUFFIX,anthropic.com,AWS_API_PROXY

SSO やサインインで別ホストが増えたら、そのサフィックスを Console 側に足します。MATCH や国内向け GEOIP はこのあとに続けます。グループ名は既存プロファイルと衝突しないようリネームしてください。

DNS・TLS:タイムアウトに見える別要因

ルールが正しくても、名前解決の経路が割れていると実接続は別出口へ落ちます。典型例は次のとおりです。

  • ブラウザや OS の Secure DNSClash 外で先に解決し、想定外の IP が選ばれる
  • Fake-IP と、一部プロセスだけが使うシステム DNS が混在し、ログ上のマッチと体感が一致しにくい
  • 中間のフィルタや不安定なノードが長い TLS セッションを切り、クライアントではタイムアウトに見える

対策の方向性は、解決経路をできるだけ一本化し、TUN でプロセスを透過させるか、TUN モードの設定と DNS ハイジャックの前提を揃えてルールを読むことです。変更後は DNS キャッシュのクリアと、同じ API 呼び出しの再試行をセットで行ってください。

検証手順(そのまま試せる順序)

  1. 失敗している操作(Console の読み込み、SDK、CLI、IDE 拡張)ごとに、ホスト名をメモする。ブラウザなら Network タブ、それ以外は Clash Verge の接続ビューが速い
  2. 該当ホストが AWS_CONSOLE_PROXYAWS_API_PROXY(または同等のグループ)のどちらに載っているか確認し、意図しない GEOIP 行に落ちていないか見る
  3. 同じプロファイルのまま、API 側グループのノードだけを切り替え、タイムアウトの再現性が変わるか比較する
  4. ブラウザだけ成功するときは、環境変数の HTTPS_PROXY、システムプロキシ、TUN の対象プロセスを揃えて再試行する

Mihomo コアと Clash Verge の運用メモ

多くの現行クライアントが Mihomo フォーク系のコアを載せており、外部 RULE-SETanchor を使うプロファイルでも、明示ルールが下に埋もれていないかは定期的に確認が必要です。Clash Verge ではプロファイルのテキスト編集画面と接続ログを隣り合わせに置くと、追加入力ドメインの発見が速くなります。

診断の間だけ DIRECT で通るかを比較するのは有効ですが、運用上ずっと直結は避けたいケースが多いでしょう。「直結なら絶対に通る/プロキシ経由だと特定ノードだけ落ちる」が分かれば、ルールの誤りではなく出口品質の問題に絞り込めます。

よくある質問

Console と API でホストが違うと言われますが、ひとまとめにできますか

初期構築では同じ安定グループへ寄せても構いませんが、症状が分かれ始めたら用途別に分離したほうがチューニングが速いです。とくにストリーミングや長時間ジョブは API 側のノード選定に効きます。

Anthropic のキー直接利用と Bedrock は併用できますか

クライアント設定が別になるため、ログに出るホストも別です。Anthropic API 向けのサフィックスと、amazonaws.com 系を両方カバーするか、SDK が向く実 URL に合わせて足し引きしてください。

ルールを追加したのに挙動が変わりません

順序typo別プロファイルを読み込んでいるの三方を疑ってください。外部ルールセットのあとに追記すると下に埋もれがちなので、明示ルールを上段へ移すのが先です。

まとめ

Claude Platform on AWS の本格利用に伴い、AWS Console の体験と BedrockAnthropic API の呼び出しが同時にクリティカルになる場面が増えています。画面のスピナーや API のタイムアウトの多くは、単一ノードのスコアだけでなく、ドメインごとの出口ルール評価順DNS の噛み合わせで説明できます。DOMAIN-SUFFIXconsole.aws.amazon.comamazonaws.com、必要なら anthropic.com を切り出し、Clash Verge 上でログと突き合わせながら調整すると、再現性のある改善がしやすくなります。

一方で、GUI だけ組み合わせた汎用ツールは、プロファイルのバージョン管理やルールの優先順位説明が薄く、チーム運用では行き詰まりやすいものもあります。Clash 公式サイト は、ダウンロード導線とチュートリアルを一箇所に揃え、記事どおりにプロファイルへ落とし込みやすいよう整理しています。利用規約の違いや更新サイクルも踏まえ、自分の環境に合うクライアントを選びたい場合は、説明の揃った配布元から入れるのが安全です。無料ダウンロードから OS 別ビルドを選び、本稿の分流をそのまま試せます。基礎手順は ドキュメント一覧、AWS 開発者ツール寄りの経路は AWS MCP 向け記事と併読すると一本化しやすいでしょう。