誰のための比較か

Windows は Clash 系クライアントの最大ユーザー基盤です。検索欄には「Clash for Windows(略称 CFW)はまだ使えるのか」「Clash Verge Rev に乗り換えるべきか」「Mihomo Party という新しい名前は何か」といった疑問が並び、ダウンロードリンクを辿ると非公式フォークや古いビルドに当たりやすい状況も続いています。ここでの整理軸は「どれが最強か」ではなく、2026 年現在のメンテナンス状況・入手経路・TUN 対応・GUI の使い心地・分流の守りやすさを横並びに並べ、自分のワークフローに貼りやすい比較表を日本語コミュニティ向け文体でまとめることです。

単体のインストール手順は各製品の詳説ページにゆだね、ここでは横断比較に集中します。Clash for Windows 向けには Windows 11 版Windows 10 版 のガイド、Clash Verge Rev 向けには Windows 11 インストール全体チュートリアルMihomo Party 向けには Windows 11 版 を合わせると粒度がそろいます。購読 URL の共通リテラシは サブスク取り込み総覧 が短く押さえます。

法務:通信の迂回やローカル法の遵守はユーザー自身が判断してください。雇用契約やキャンパス規約、居住国との整合を必ず読み、アプリ機能の議論とは切り離して読むと安全です。

3製品の位置づけを先に揃える

Clash for Windows は 2020 年前後から Windows ユーザーに広く普及した GUI クライアントで、当時の Clash Premium コアを載せた「定番」のイメージが強く残っています。しかし開発者は 2023 年にプロジェクトをアーカイブし、以降公式更新はありません。名前を借りた第三者ビルドが乱立しているため、2026 年の新規導入ではレガシー扱いと考えるのが現実的です。

Clash Verge Rev は Clash Verge 系の現役フォークで、Windows・macOS・Linux を横断する Electron ベースの GUI です。内部コアは Mihomo(Clash Meta) に置き換わっており、TUN モードや新しいプロキシプロトコル、ルールプロバイダなど現行 YAML の機能を広くカバーします。設定ファイルやログへの直接アクセス、外部コントローラ UI との連携も得意です。

Mihomo Party は Mihomo コアを前面に出した比較的新しい Windows/macOS/Linux 向けクライアントです。UI をモダンに再設計し、購読管理やプロキシグループの視覚化、ワンクリック TUN 切り替えなど「見た目と操作の分かりやすさ」に寄せた設計が特徴です。開発も活発で、Windows 11 の SmartScreen 対応や TUN 周りの改善が継続的に入っています。

3 製品すべてが「Clash 設定 YAML を読む」という点では共通ですが、載せるコアの世代メンテナンスの継続性 で大きく分かれます。旧来の CFW 用プロファイルをそのまま持ち込めるケースも多い一方、新しい機能フラグやプロトコル名は Verge Rev と Mihomo Party 側で初めて意味を持つことがあります。

メンテナンス状況とセキュリティ

クライアント選びで最初に見るべきは機能リストより更新が続いているかです。CFW は GitHub 上でアーカイブ済みであり、OS のアップデートや新プロトコルへの追従は期待できません。セキュリティ修正も止まっているため、古いランタイムや依存ライブラリの脆弱性が残るリスクがあります。

検索結果に出てくる「CFW 最新版」や「CFW 汉化版」の多くは非公式リパックであり、配布元の信頼性を自分で検証できない限り避けるべきです。チェックサムの公開、リリースノートの一貫性、開発者アカウントの履歴——この3点が揃わないリンクは、たとえ見た目が本家に似ていても踏まない方が安全です。

Clash Verge Rev と Mihomo Party は 2026 年現在もリリースが続いており、Mihomo コアのバージョンアップに追随しています。Windows 11 24H2 以降の SmartScreen 警告や TUN ドライバ周りの変更にも、こちらの2製品の方がパッチが当たりやすい構造です。長期運用を考えるなら、現役フォークのどちらかに軸を置くのが無難です。

注意:CFW から移行するときは、古いプロファイルに埋まった互換性のないキーや廃止されたプロキシ種別を洗い出してください。移行直後に「全部 DIRECT になる」症状の多くは、コア差分ではなく YAML の書式差です。

入手経路とインストール体験

CFW の公式配布は停止しているため、新規ユーザーが触れる「CFW」は実質的に第三者ミラーになりがちです。インストーラの署名、SmartScreen の警告内容、付属する設定ファイルの改ざん有無を自分で確認する負荷が常に乗ります。既存環境で動いている CFW を「壊さずに延命」する用途なら別ですが、ゼロから構築するなら Verge Rev か Mihomo Party の GitHub Releases から直接取得する方が証跡が明確です。

Clash Verge Rev は .exe インストーラまたは portable 版を配布しており、初回起動時に Mihomo コアを同梱または自動取得します。Windows 10/11 双方で SmartScreen を通す手順は Windows 10 版Windows 11 版 のページで整理済みです。Server 系 OS 向けには Server 2022 ガイド も参考になります。

Mihomo Party も同様に GitHub Releases から .exe を取得する流れで、初回セットアップは Verge Rev と同等かやや簡素です。UI ガイドに沿って購読 URL を貼るだけでプロキシ一覧が並ぶ設計のため、「とにかく早くオンにしたい」層には入口が分かりやすい印象です。Windows 10 向け手順は こちら を参照してください。

GUI と日常操作の違い

CFW の UI は 2020 年代前半の Electron アプリとして完成度が高く、「Profiles/Proxies/Logs/Connections」の4タブ構成に慣れたユーザーは多いです。ただしダークモード以外のモダン化や高 DPI 最適化は止まったままで、4K モニターや Windows 11 の角丸デザイン言語とはやや距離があります。

Clash Verge Rev は設定項目をサイドバーに展開するダッシュボード型で、ログ・接続一覧・ルールヒットを並べて観察しやすいレイアウトです。上級者向けに設定 YAML をエディタ内で直接編集するモードもあり、Git 管理や diff 確認との相性が良いです。外部コントローラ UI との連携は ダッシュボード UI チェック と合わせると全体像が掴めます。

Mihomo Party はカード型のプロキシグループ表示やトラフィックグラフなど、視覚的フィードバックを厚くした UI が特徴です。プロキシの遅延テスト結果を色分けで並べ、ワンクリックでノードを切り替える操作感は、毎日手動で出口を選ぶユーザーに向いています。テキストファイルを直接触りたい欲求が強い層より、GUI だけで完結させたい層に評価されやすい設計です。

TUN モードとシステム全体の取り込み

Windows で「ブラウザ以外のアプリもプロキシ配下に置きたい」とき、TUN モードが論点になります。CFW も TUN に対応していましたが、現行 OS やドライバ署名要件との整合は更新停止以降検証されていません。旧環境で動いていた TUN 設定が Windows 11 アップデート後に突然効かなくなるケースは、レガシークライアントあるあるです。

Clash Verge Rev と Mihomo Party は Mihomo コアの TUN 実装を継承しており、管理者権限の昇格と仮想アダプタの作成を GUI から有効化できます。UDP 依存のサービス(音声通話、一部ゲーム、P2P 系ツール)を取り込みたいときは、混合ポートだけでは足りず TUN が必要になることが多いです。概念整理は TUN モード解説 を参照してください。

Verge Rev は TUN とシステムプロキシの併用状態をログで追いやすく、競合アプリ(別 VPN、Hyper-V、WSL2 など)との干渉切り分けに向いています。Mihomo Party は TUN トグルの位置が目立ち、「とりあえず全体 ON」の操作は少ないクリック数で済みます。WSL2 併用環境では WSL2 ルーティング排障 も合わせて確認すると、TUN 有効時の MTU 問題を早く潰せます。

グローバルモードと TUN の体感差については グローバルモード解説 が参考になります。ブラウザだけならシステムプロキシで足りる場面と、アプリ全域を拘束したい場面を先に分けておくと、TUN を常時 ON にする必要があるか判断しやすくなります。

購読インポートと設定の互換性

3 製品とも Clash 形式の YAML または購読 URL を読み込めますが、コア世代の差でパースエラーが出る項目があります。CFW 時代のプロファイルに含まれる古いプロキシ種別名、廃止された設定キー、実験的フラグは、Mihomo コア側で警告または無視されることがあります。

Clash Verge Rev はプロファイルをテキストとして開き、エラー行を特定しやすい構造です。ルールプロバイダの遅延取得や proxy-groups のネスト構造も GUI 上で概ね追えます。URL テストやフォールバックグループの調整は フォールバックグループ設定URL テスト設定 が詳しいです。

Mihomo Party は購読 URL を追加するとプロキシとルールが自動で展開され、視覚的に「何が入ったか」を確認しやすいです。上書きルールやローカルパッチを Git で管理している場合は Verge Rev の方がワークフローに合い、クラウド購読一本で運用する場合は Mihomo Party の方が初期セットアップが短い——という評価が出やすいです。

TIP:CFW から移行するときは、まず現行クライアントで同じ購読 URL を読み込み、ログの先頭50行だけを比較してください。ルールヒット数や DIRECT 比率が大きくズレていたら YAML 互換性ではなく DNS 設定(Fake-IP など)の差を疑います。

分流と DNS の守りやすさ

分流は YAML の見た目ではなく、実行時のルール順序で決まります。GEOIP ベース規則、MATCH による退路、Fake-IP と redir-host の選択——これらは相互に依存するため、GUI がどうラベルを隠しているかだけで評価を誤らないようにします。基礎は ルール分岐ガイド を先に読んでおくと、3 製品どれを選んでもログの読み方が共通します。

CFW でもルールタブから概ね追えましたが、更新停止以降は新しい CDN ドメインや AI サービス向けの分割ルール例がコミュニティ側にしか出てこないことがあります。Verge Rev と Mihomo Party は Mihomo コアの最新ルール機能(rule-providers など)をそのまま使えるため、分割ルールを頻繁に足す運用と相性が良いです。

Discord や Disney+ など特定サービスの分割例は、Discord UDP 分割Disney+ 分割 など個別記事が参考になります。どのクライアントでもルール自体は同じ YAML ですが、ログでヒット確認がしやすい GUI を選ぶとデバッグ時間が短縮されます。Verge Rev は接続一覧とルールヒットを並べやすく、Mihomo Party はグループ単位のトラフィック可視化が強い——という使い分けです。

リソース消費と常駐安定性

3 製品とも Electron または Chromium ベースの GUI を載せているため、アイドル時のメモリ使用量はおおむね 150〜300 MB 程度に収まることが多いです。差が出やすいのは接続数が増えたときTUN 有効時です。数千接続を張る開発環境や Docker 併用では Docker Desktop プロキシ の設定と合わせて観測すると、どのクライアントでもボトルネックはコア側に集まりやすいです。

CFW は古い Electron バージョンに固定されているため、同等機能の現役クライアントよりメモリ効率が悪い場合があります。スリープ復帰後にプロキシが切れたままになる症状は、レガシークライアントあるあるで、Verge Rev や Mihomo Party でも起き得ますが、後者の方が issue トラッキングと修正パッチが続いています。

混合ポートの競合(address already in use)はクライアント共通の問題です。発生時は ポート競合ガイド の手順で netstat から犯人プロセスを特定してください。常駐安定性だけを理由に CFW に留まるより、現役クライアントで同じ購読を一週間走らせてログを比較する方が、移行判断の材料になります。

横並び比較早見表

以下は 2026 年時点のユーザー観察に基づく実用比較です。絶対評価ではなく、自分の優先順位に貼り付けて使ってください。

  • メンテナンス:CFW は停止/Verge Rev・Mihomo Party は継続更新。
  • 内部コア:CFW は Clash Premium(旧)/Verge Rev・Mihomo Party は Mihomo(Clash Meta)。
  • TUN 対応:3 製品とも対応歴はあるが、現行 OS との整合は Verge Rev・Mihomo Party が有利。
  • GUI の方向性:CFW は定番4タブ/Verge Rev はダッシュボード+テキスト編集/Mihomo Party はカード型ビジュアル。
  • 上級者向け:Verge Rev が設定ファイル直接編集とログ追跡に強い。
  • 初心者向け:Mihomo Party が購読追加からオンまでの導線が短い。
  • クロスプラットフォーム:Verge Rev と Mihomo Party は macOS/Linux 版あり。CFW は Windows 専用。
  • セキュリティ:CFW は非公式ビルドリスク大。現役2製品は GitHub Releases から直接取得推奨。

並列チェックリスト:観察ポイント

次の質問に「はい」が多い列に寄れば、そのクライアント寄りになりやすいです。複数に当てはまるなら、用途ごとに使い分けるモデルもあります。

  • 既存の CFW プロファイルをそのまま延命したい(更新不要):CFW レガシー(リスク承知)。
  • 2026 年以降もセキュリティ更新を受けたい:Verge Rev か Mihomo Party。
  • 設定 YAML を Git で管理し diff を見たい:Clash Verge Rev 寄り。
  • GUI だけで購読追加からオンまで完結させたい:Mihomo Party 寄り。
  • ログと接続一覧を長時間眺める:Clash Verge Rev 寄り。
  • プロキシ遅延を色分けで一覧したい:Mihomo Party 寄り。
  • macOS とも設定を共通化したい:Verge Rev か Mihomo Party(CFW は不可)。
  • TUN でゲームや UDP アプリを取り込みたい:Verge Rev か Mihomo Party(現行 OS 推奨)。

迷ったときはこの順番で並べる

  1. まず新規導入か CFW 延命かを決める。新規なら CFW は候補から外す。
  2. 次に入手 URL が公式 GitHub Releases かを確認し、非公式ミラーを線で消す。
  3. 購読 URL を両方の現役クライアントに読み込み、ログ先頭のエラー行だけを比較する。
  4. TUN が必要なら両方で試し、自分の必須アプリ(ゲーム、Docker、WSL2 など)が取り込めるか確認する。
  5. 分流ルールが意図どおり効いているか、MATCH 以前のヒット数をログで確認する。
  6. 一週間シングル構成で走らせ、メモリ使用量と復帰安定性を見てから本採用する。

利用シーン別のざっくり指針

一般オフィスワーカー:ブラウザと Teams/Slack が主戦場なら、システムプロキシだけでも足りることが多いです。GUI の分かりやすさを優先するなら Mihomo Party、ログで原因を自分で追いたいなら Verge Rev——という分岐が自然です。

開発者:Docker、WSL2、npm/pnpm、ローカルサーバーとの共存が日常にあります。設定ファイルをテキストで管理し、接続一覧から異常を掘る習慣があるなら Clash Verge Rev が相性良いです。TUN と混合ポートの使い分け、ポート競合の切り分けは開発環境ならではの論点なので、Fake-IP 設定 も合わせて確認してください。

ゲーマー・配信者:UDP 依存の音声やゲームクライアントを取り込む必要があり、TUN が実質必須になりやすいです。どちらの現役クライアントでも TUN は使えますが、競合する別 VPN やアンチチート系ソフトがある場合は、ログを見ながら順番に単独構成で試してください。CFW の TUN を Windows 11 最新版で延命するのは、トラブル時の情報が少なくおすすめしません。

CFW からの移行者:Profiles タブに慣れているユーザーは、Verge Rev のプロファイル管理に最も近い操作感を覚えやすいです。Mihomo Party は画面構成が異なるため、最初の30分は「同じボタンがどこにあるか」の探索が必要です。ただし移行後の長期メンテ負荷はどちらも CFW より大幅に下がります。

よくある質問

Clash for Windows は 2026 年でも使えますか

動作自体は可能ですが、公式開発は停止しておりセキュリティ更新もありません。名前を借りた非公式フォークが乱立しているため、新規導入は Clash Verge Rev や Mihomo Party など現役クライアントへの移行を推奨します。どうしても延命する場合は、配布元の署名とチェックサムを自分で検証し、不要な権限要求がないか確認してください。

Verge Rev と Mihomo Party の違いは何ですか

どちらも Mihomo コアを搭載し TUN に対応します。Verge Rev はクロスプラットフォームでログや設定ファイルへの直接アクセスに強く、外部コントローラ UI との連携も得意です。Mihomo Party はモダンな UI と購読管理の視覚化に寄せた設計で、GUI だけで完結させたいユーザーに向いています。好みの画面と更新頻度で選ぶのが近道です。

Windows で TUN モードが必要なケースは

システムプロキシを読まないアプリ——ゲーム、一部のデスクトップツール、UDP 依存サービス——をプロキシ配下に置きたいときです。ブラウザ中心なら混合ポートだけでも足りますが、全域取り込みが必要なら Verge Rev か Mihomo Party の TUN を有効にしてください。有効化後は TUN 解説 のチェック項目で DNS 設定も確認しましょう。

CFW から移行すると設定は引き継げますか

購読 URL または YAML ファイルをそのまま読み込めるケースがほとんどです。ただし古いプロキシ種別や廃止キーがあると警告が出ます。移行直後に接続できないときは、まずログのパースエラーを確認し、必要なら 購読インポート総覧 の手順で URL を再取得してください。

まとめ

2026 年の Windows ユーザーが Clash クライアントを選ぶとき、機能の並べ勝ちよりもメンテナンスが続いているか、入手経路が信頼できるか、TUN と分流を自分の必須アプリで守れるか——この3点で候補が大きく絞れます。Clash for Windows はレガシーとして記憶に残っていますが、新規導入の第一候補ではありません。Clash Verge Rev はテキストとログに寄せた運用に強く、Mihomo Party は視覚的で短い導線の GUI に寄せた設計です。

どちらを主軸にしても、同じ Mihomo コア上で動くため、購読 URL とルールセットの資産は大きく無駄になりません。迷ったら両方を一週間ずつシングル構成で走らせ、ログとメモリ使用量だけを比較するのが最も確実です。Mac や iPhone とも設定を揃えたい場合は、Apple 端末向け Stash と Verge Rev 比較 も合わせて読むと、クロスプラットフォーム全体の地図が完成します。

一方で、検索結果に出てくる古い CFW ミラーや出所不明の「汉化版」は、設定以前に配布チェーンの信頼性で破綻しやすいです。整理された入手経路とバージョン表記があると、移行や再インストールのたびに迷子になりにくくなります。Clash 公式サイト は各プラットフォーム向けのインストール手順とチュートリアルを横断で揃えており、Windows 三製品比較のような選定記事とも噛み合わせやすい構成です。現役クライアントへの移行を検討しているなら、まず Clash の入手ページ から自分の OS に合う候補を確認し、そこから Verge Rev か Mihomo Party を一つ選んで試すのが近道です。セットアップの核はいずれも同じメタ構成に乗っているため、GUI だけ差し替えつつ読み込み深さを増やしていけば、CFW 時代より安全で保守しやすい運用に移行できます。